2015 年 10 月 5 日公開 | 2015 年 10 月 12 日更新
Android のセキュリティに関する月例情報公開の一環として、Nexus 端末に対するセキュリティ アップデートを無線(OTA)アップデートで配信しました。また、Nexus ファームウェア イメージも Google デベロッパー サイト にリリースされています。LMY48T 以降のビルド(LMY48W など)、および Android Marshmallow(セキュリティ パッチ レベルが 2015 年 10 月 1 日以降)で下記の問題に対処しています。セキュリティ パッチ レベルを確認する方法について詳しくは、 Nexus のドキュメント をご覧ください。
パートナーには下記の問題について 2015 年 9 月 10 日までに通知済みです。下記の問題に対するソースコードのパッチは、Android オープンソース プロジェクト(AOSP)レポジトリにリリースされています。
下記の問題のうち最も重大なのは、メール、ウェブの閲覧、MMS などの複数の方法を通じて、攻撃を受けた端末でメディア ファイルの処理中にリモートコード実行が可能になる重大なセキュリティの脆弱性です。
この新たに報告された問題によって実際のユーザー端末が不正使用された報告はありません。 Android セキュリティ プラットフォームの保護 と SafetyNet のようなサービスの保護について詳しくは、 リスクの軽減 をご覧ください。こうした保護は、Android でプラットフォームのセキュリティを改善します。ご利用の端末でこうしたアップデートを行うことをすべてのユーザーにおすすめします。
下記の表に、セキュリティの脆弱性、共通脆弱性識別子(CVE)、およびその重大度の評価の一覧を示します。 重大度の評価 は、攻撃を受けた端末でその脆弱性が悪用された場合の影響に基づくもので、プラットフォームやサービスでのリスク軽減策が、開発目的や不正に回避されたために無効の場合を前提としています。
問題 | CVE | 重大度 |
---|---|---|
libstagefright でのリモートコード実行の脆弱性 |
CVE-2015-3873
CVE-2015-3872 CVE-2015-3871 CVE-2015-3868 CVE-2015-3867 CVE-2015-3869 CVE-2015-3870 CVE-2015-3823 CVE-2015-6598 CVE-2015-6599 CVE-2015-6600 CVE-2015-6603 CVE-2015-6601 CVE-2015-3876 CVE-2015-6604 |
重大 |
Sonivox でのリモートコード実行の脆弱性 | CVE-2015-3874 | 重大 |
libutils でのリモートコード実行の脆弱性 |
CVE-2015-3875
CVE-2015-6602 |
重大 |
Skia でのリモートコード実行の脆弱性 | CVE-2015-3877 | 重大 |
libFLAC でのリモートコード実行の脆弱性 | CVE-2014-9028 | 重大 |
キーストアでの権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-3863 | 高 |
メディア プレーヤー フレームワークでの権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-3879 | 高 |
Android Runtime での権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-3865 | 高 |
メディアサーバーでの権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-6596 | 高 |
Secure Element Evaluation Kit での権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-6606 | 高 |
Media Projection での権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-3878 | 中 |
Bluetooth での権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-3847 | 中 |
SQLite での権限昇格の脆弱性 | CVE-2015-6607 | 中 |
メディアサーバーでのサービスの拒否の脆弱性 |
CVE-2015-6605
CVE-2015-3862 |
低 |
ここでは、 Android セキュリティ プラットフォームの保護 と SafetyNet のようなサービスの保護によるリスクの軽減について概説します。こうした機能は、Android でセキュリティの脆弱性が悪用される可能性を減らします。
調査に関与された下記の皆様のご協力に感謝いたします。
Chrome セキュリティ チーム、Google セキュリティ チーム、Project Zero の他、この公開情報で解決した各問題を報告してくれた Google 社員の協力にも感謝します。
上記の セキュリティの脆弱性の概要 で一覧に挙げた各項目について、下記に詳細を説明します。問題と重大度の根拠について説明し、CVE、関連するバグ、重大度、影響を受けるバージョン、および報告日の表を掲載します。該当する場合は、バグ ID の欄に、その問題への対処を示す AOSP へのリンクがあります。複数の変更が同じバグに関係する場合は、バグ ID の後に続く番号で、追加の AOSP リファレンスへのリンクを示します。
libstagefright に脆弱性があり、特別に細工したメディア ファイルやデータが処理される間に、攻撃者がメディアサーバー サービスでメモリ破壊やリモートコード実行を行うおそれがあります。
特権サービスとしてリモートコード実行が可能になるため、この問題は重大と判断されています。攻撃を受けたコンポーネントは音声や動画のストリームにアクセスできる他、通常はサードパーティのアプリがアクセスできない権限にアクセスできます。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3873 | ANDROID-20674086 [ 2 、 3 、 4 ] | 重大 | 5.1 以下 | Google 社内 |
ANDROID-20674674 [ 2 、 3 、 4 ] | ||||
ANDROID-20718524 | ||||
ANDROID-21048776 | ||||
ANDROID-21443020 | ||||
ANDROID-21814993 | ||||
ANDROID-22008959 | ||||
ANDROID-22077698 | ||||
ANDROID-22388975 | ||||
ANDROID-22845824 | ||||
ANDROID-23016072 | ||||
ANDROID-23247055 | ||||
ANDROID-23248776 | ||||
ANDROID-20721050 | 重大 | 5.0 および 5.1 | Google 社内 | |
CVE-2015-3823 | ANDROID-21335999 | 重大 | 5.1 以下 | 2105 年 5 月 20 日 |
CVE-2015-6600 | ANDROID-22882938 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 7 月 31 日 |
CVE-2015-6601 | ANDROID-22935234 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 3 日 |
CVE-2015-3869 | ANDROID-23036083 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 4 日 |
CVE-2015-3870 | ANDROID-22771132 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 5 日 |
CVE-2015-3871 | ANDROID-23031033 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 6 日 |
CVE-2015-3868 | ANDROID-23270724 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 6 日 |
CVE-2015-6604 | ANDROID-23129786 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 11 日 |
CVE-2015-3867 | ANDROID-23213430 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 14 日 |
CVE-2015-6603 | ANDROID-23227354 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 15 日 |
CVE-2015-3876 | ANDROID-23285192 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 15 日 |
CVE-2015-6598 | ANDROID-23306638 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 18 日 |
CVE-2015-3872 | ANDROID-23346388 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 19 日 |
CVE-2015-6599 | ANDROID-23416608 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 21 日 |
Sonivox に脆弱性があり、特別に細工したメディア ファイルが処理される間に、攻撃者がメディアサーバー サービスでメモリ破壊やリモートコード実行を行うおそれがあります。特権サービスとしてリモートコード実行が可能になるため、この問題は重大と判断されています。攻撃を受けたコンポーネントは音声や動画のストリームにアクセスできる他、通常はサードパーティのアプリがアクセスできない権限にアクセスできます。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3874 | ANDROID-23335715 | 重大 | 5.1 以下 | 複数 |
ANDROID-23307276 [ 2 ] | ||||
ANDROID-23286323 |
汎用ライブラリ libutils での音声ファイルの処理に脆弱性があります。攻撃者がこの脆弱性を悪用して、特別に細工したファイルが処理される間に、メディアサーバーのようなこのライブラリを使用するサービスでメモリ破壊やリモートコード実行を行うおそれがあります。
影響を受ける機能はアプリの API として提供されており、複数のアプリにおいて、リモート コンテンツ(特に MMS やブラウザでのメディアの再生)によってこの脆弱性が攻撃されるおそれがあります。特権サービスとしてリモートコード実行が可能になるため、この問題は重大と判断されています。攻撃を受けたコンポーネントは音声や動画のストリームにアクセスできる他、通常はサードパーティのアプリがアクセスできない権限にアクセスできます。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3875 | ANDROID-22952485 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 15 日 |
CVE-2015-6602 | ANDROID-23290056 [ 2 ] | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 15 日 |
Skia コンポーネントに脆弱性があり、特別に細工されたメディア ファイルの処理中に悪用されて、特権プロセスでのメモリ破壊やリモートコード実行につながるおそれがあります。メディア ファイルの処理中に、メール、ウェブの閲覧、MMS などの複数の攻撃方法によりリモートコード実行が可能になるため、この問題は重大と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3877 | ANDROID-20723696 | 重大 | 5.1 以下 | 2015 年 7 月 30 日 |
libFLAC でのメディア ファイル処理に脆弱性があります。攻撃者がこの脆弱性を悪用して、特別に細工したファイルが処理される間に、メモリ破壊やリモートコード実行を行うおそれがあります。
影響を受ける機能はアプリの API として提供されており、複数のアプリにおいて、リモート コンテンツ(特に MMS やブラウザでのメディアの再生)によってこの脆弱性が攻撃されるおそれがあります。特権サービスとしてリモートコード実行が可能になるため、この問題は重大と判断されています。攻撃を受けたコンポーネントは音声や動画のストリームにアクセスできる他、通常はサードパーティのアプリがアクセスできない権限にアクセスできます。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2014-9028 | ANDROID-18872897 [ 2 ] | 重大 | 5.1 以下 | 2014 年 11 月 14 日 |
キーストア コンポーネントに権限昇格の脆弱性があり、悪意のあるアプリがキーストア API に呼び出す際に悪用するおそれがあります。サードパーティのアプリが直接はアクセスできない権限にアクセスできるようになるので、この問題の重大度は「高」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3863 | ANDROID-22802399 | 高 | 5.1 以下 | 2015 年 7 月 28 日 |
メディア プレーヤー フレームワークに権限昇格の脆弱性があり、メディアサーバーで悪意のあるアプリが勝手なコードを実行できるおそれがあります。サードパーティのアプリが直接はアクセスできない権限にアクセスできるようになるので、この問題の重大度は「高」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3879 | ANDROID-23223325 [2]* | 高 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 14 日 |
* この問題に対する 2 回目の変更は AOSP にはありません。アップデートは Google デベロッパー サイト から入手できる Nexus 端末用最新バイナリ ドライバに含まれています。
Android Runtime に権限昇格の脆弱性があり、昇格されるシステムアプリで悪意のあるローカルアプリが勝手なコードを実行できるおそれがあります。サードパーティのアプリがアクセスできない signature 権限や signatureOrSystem 権限に昇格できるようになるため、この問題の重大度は「高」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3865 | ANDROID-23050463 [ 2 ] | 高 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 8 日 |
メディアサーバーに複数の脆弱性があり、ネイティブの特権サービスで悪意のあるローカルアプリが勝手なコードを実行できるおそれがあります。サードパーティのアプリが直接はアクセスできない権限にアクセスできるようになるので、この問題の重大度は「高」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-6596 | ANDROID-20731946 | 高 | 5.1 以下 | 複数 |
ANDROID-20719651* | ||||
ANDROID-19573085 | 高 | 5.0~6.0 | Google 社内 |
* この問題に対するパッチは AOSP にはありません。アップデートは Google デベロッパー サイト から入手できる Nexus 端末用最新バイナリ ドライバに含まれています。
SEEK (Secure Element Evaluation Kit、別名 SmartCard API)プラグインに脆弱性があり、アプリがリクエストせずに、昇格権限を取得できるおそれがあります。サードパーティのアプリがアクセスできない signature 権限や signatureOrSystem 権限に昇格できるようになるため、この問題の重大度は「高」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-6606 | ANDROID-22301786* | 高 | 5.1 以下 | 2015 年 6 月 30 日 |
* この問題に対処するアップグレードは、 SEEK for Android のサイト にあります。
Media Projection コンポーネントに脆弱性があり、画面のスナップショットの形式でユーザーデータを開示できるおそれがあります。オペレーティング システムで過度に長いアプリ名を許可しているためにこの問題が発生します。悪意のあるローカルアプリが長い名前を使用して、画面の記録についての警告がユーザーに表示されるのを阻止できます。不正に権限を昇格できるようになるため、この問題の重大度は「中」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3878 | ANDROID-23345192 | 中 | 5.0~6.0 | 2015 年 8 月 18 日 |
Android の Bluetooth コンポーネントに脆弱性があり、保存されている SMS メッセージをアプリが削除できるおそれがあります。不正に権限を昇格できるようになるため、この問題の重大度は「中」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-3847 | ANDROID-22343270 | 中 | 5.1 以下 | 2015 年 7 月 8 日 |
SQLite 構文解析エンジンに複数の脆弱性が発見されました。この脆弱性をローカルアプリが悪用して、別のアプリやサービスに勝手な SQL クエリを実行させるおそれがあります。悪用されると、攻撃対象のアプリで勝手なコードが実行されるおそれがあります。
2015 年 4 月 8 日に AOSP マスターに修正がアップロードされ、SQLite がバージョン 3.8.9 にアップグレードされました( https://android-review.googlesource.com/#/c/145961/ )。
この公開情報には SQLite の Android 4.4 でのバージョン(SQLite 3.7.11)と Android 5.0、5.1 でのバージョン(SQLite 3.8.6)のパッチが含まれています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-6607 | ANDROID-20099586 | 中 | 5.1 以下 |
2015 年 4 月 7 日
公開 |
メディアサーバーに複数の脆弱性があり、メディアサーバー プロセスをクラッシュさせてサービスを拒否させるおそれがあります。メディアサーバーをクラッシュさせて一時的にサービスをローカルに拒否させるので、重大度は「低」と判断されています。
CVE | バグと AOSP リンク | 重大度 | 影響のあるバージョン | 報告日 |
---|---|---|---|---|
CVE-2015-6605 | ANDROID-20915134 | 低 | 5.1 以下 | Google 社内 |
ANDROID-23142203 | ||||
ANDROID-22278703 | 低 | 5.0~6.0 | Google 社内 | |
CVE-2015-3862 | ANDROID-22954006 | 低 | 5.1 以下 | 2015 年 8 月 2 日 |